我が家の移動教室  二〇一二年秋 ひとしずく九二五

   今、子供たちは、毎日のように畑仕事に精を出し、おばあちゃんから色々なことを学んでいます。他の人たちにも自分たちの畑で採れた作物を分けてあげたいと、息子は、叔母から使ってもいいと言われた畑を、来年はさらに拡張したいというビジョンを持っています。

私の子供たちはホームスクーリング(家庭学習)をしているので、親兼教師である私たちは、子供が学びたいという気持ちがあることに関しては、できるだけ学ばせてやりたいと思っています。特に息子は、畑作りに興味を持っており、その好奇心に応えて、昨日、私たちは北海道に渡ってきました。下の子供たち三人と私の四人で、以前北海道で出会った人の所に向かっています。彼は、普通の人が農作物の栽培は無理だと、あきらめてしまうような土地にしがみつき、見事に農園を造り上げた人です。彼からその精神と農業について色々と学ばせて頂こうと思っています。また何か、私たちがその農園の助けになれたらとも願っています。

 ところで、北海道に来たもう一つの理由があります。それは、私が高校時代、家出して歩いた場所を子供たちに見せることでした。あの頃、人生の答えを探すべく、秋田から北海道に渡って、函館から室蘭まで歩きました。

 そもそもなぜ自分がここにいるのか? 何のために自分は生きているのか? 何にむかうべきなのか? 何故自分は走らなければならないのか? 歩いてはダメなのか? 立ち止まったらダメなのか? 逆戻りというようなことをしたらどうなるのか?

   そんな質問を抱き、苦悶しながら自分の歩いた場所を子供たちに見せて、彼らにも、真剣に人生について、考えてほしいと思ったのです。

 今はコンピュータで、インターネットにアクセスすることができます。あらゆる知識が、どこにも行かなくても手に入れやすい環境です。しかし、考えるとか、体験してみるとかは、他の人に代わってしてもらうわけには行きません。

 自分でぶつかってみてほしいし、何故と思ってほしいし、発見の喜びに与ってほしいのです。

  また、子供たちに美しい日本の場所を見せて、そこから、神様がどれだけ私たちに恵みを与えられ、何百年もまた何千年もの間、美しい大自然の中で田畑を耕してきた大勢の人たちがいたということを、学びとってほしいと思うのです。

私たち四人とその荷物でぎゅうぎゅう詰めの軽自動車に乗って、青森の大間(下北半島)からフェリーで北海道に渡る、一週間ほどの農業体験移動教室です。この我が家の移動教室が、素晴らしい学びと思い出の時となるように、皆さんに祈っていて頂けたらと思います。そして家で留守番してくれている母と、わが家の校長先生である妻にも、主の保護がありますように。

すべてあなたの手のなしうる事は、力をつくしてなせ。

                                                            (伝道の書九章十節)

見よ、主の大いなる恐るべき日が来る前に、わたしは預言者エリヤをあなたがたにつかわす。 彼は父の心をその子供たちに向けさせ、子供たちの心をその父に向けさせる。これはわたしが来て、のろいをもってこの国を撃つことのないようにするためである」。

(マラキ書四章五~六節)